2013年3月26日火曜日

囲碁入門指導の心得について

先日、茨城県つくば市で開催された「学校囲碁指導員講習会」、日本棋院から水間俊文七段と泉谷英雄八段の2名の棋士がお越しになりました。これは囲碁入門者への指導を想定した講習会で、指導者側には大した棋力は要求されていませんでした。逆に初心を忘れてしまった有段者よりは、初心者だった頃を覚えている級位者の方が入門指導には適しているのではないかとも思われます。

この講習会で、特に泉谷英雄八段が講習を担当された「入門のその後」の指導について、印象に残った点を中心にあらためて内容を紹介したいと思います。


「取るぞ 取るぞは 取られのもと」

これは泉谷八段が講習中に何度も繰り返された言葉です。入門者が対局時に心がけるべき標語といってよいでしょう。泉谷八段ご自身が囲碁を覚え始めの頃に聞かされた言葉でもあるそうです。

囲碁の入門者にとって「相手の石を取る」ことは分かりやすい目標ですし、相手の石を取ればその分だけ自分が有利になる実感がありますし、何より石を取るのは嬉しいことです。そのため、ついついアタリ、アタリと相手の石を追いかけがちですが、アタリを逃げられてしまうと自分の石はナナメのキズだらけという状況はありがちですよね。今度は自分の石が取られる番になるので、事前にそうした状況を避けるための心がけが、この標語だと言えそうです。


「ツケにはハネよ ハネにはノビよ」

これも囲碁の入門書によく出てくる標語ですね。囲碁の入門時点では、自分の石がどんな形をしていれば有利で、どんな形だと不利なのか、なかなか実感として理解しにくいものです。そこで接近戦のときのセオリーをこのように表現しているのだと私なりに理解しています。

こうした定番の標語は他にもいろいろとありますが、それらに興味をもって、囲碁の様々な局面での有利不利について考慮するようになれば、棋力も自然と向上していくのではないでしょうか。


「シチョウでも逃げてあげよう 入門者だもの」

囲碁の入門者を指導する際の心構えとして、繰り返し強調されるのは「教えすぎないこと」です。しかし、教えすぎないことと、何も教えないことは異なります。私自身の経験、そして私が子供に囲碁を教えた経験から考えると、シチョウは教えるべき必須項目だと思います。

そしてシチョウを覚えた入門者と対局するときには、わざと自分の石をシチョウに抱えさせたり、シチョウで取られるのが分かっていても逃げていって相手に取らせてあげる、そんな配慮も必要だということですね。
私自身、子供との対局でシチョウを逃げて逃げて、結局取られて「負けました」というのを何度かやりました。特に子供の場合、対局に勝つことが何より嬉しいですから、上手くシチョウを使えたらわざと負けてあげるのも大事だと思います。


「アタリを見逃すのも 指導のコツ」

先のシチョウに通じる点がありますが、学校囲碁指導員講習会で例として出てきたのは「両アタリ」です。両アタリという上手い手を見つけた入門者がいたとしましょう。しかし、その前に自分の石がアタリになってしまっていることが往々にしてあります。
「よし、両アタリにしたから石取ってやるぞ!」と盛り上がっているところに、自分の石が取られてしまうと意気消沈ですね。そんな指導対局は避けましょうということです。


「先生よわいね 言われるくらいで ちょうどいい」

これまで述べてきた指導を行うと、先生は対局で負けてばかりになりそう。でも、それで良いのだそうです。ちょっと囲碁の腕に覚えがある指導者だと、どうしても対局で負けたくない、自分の強さを見せたいという気持ちが出てしまいがちですが、そうした気持ちは抑えるのが上手な指導の秘訣だそうです。入門者相手に自分の強さを見せ付ける必要はありませんからね。

以上、囲碁入門者への指導について、学校囲碁指導員講習会で教わった内容でした。

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